最後の日本画県展

 長野県で最後となる、日本画県展が5日、長野市のホクト文化ホールで12日まで7日間(休館7日)の日程で始まった。41点を展示。春と秋の2回開いていたが、春は他の美術展に統合、秋もこの52回目で終わる。ひと頃200人いた長野県日本画会の会員が4分の1に減少、財政的に開けなくなった。
 会員減少の一番の理由は、絵の具をチューブから出せばすぐ描ける洋画と異なり、日本画は和紙を木枠に貼りドーサ液を刷毛で塗って乾かし、膠で溶いた胡粉を下塗りし、岩絵の具を溶いて描く、など、手間がかかることがある。学校教育になじまず、後継者が育ちにくい。
 さらに最近の他の文化芸術活動同様、日本経済の悪化で趣味をする余裕のある人々が減ったことも響いている。長野市城山公民館にも日本画教室があったが、今は西洋画と一緒の教室に変わった。
 日本画は、名前の通り、日本だけの文化だ。私が好きな葛飾北斎も浮世絵版画で名声を博した後、晩年は肉筆画という日本画だ。NHKが朝井まかての小説をドラマ化した「眩(くらら)~北斎の娘」でも、お栄役の宮崎あおいが、北斎のため和紙にドーサ液を塗る場面が出てくる。県立美術館に併設している東山魁偉館の多くの作品も日本画だし、飯田市出身の菱田春草も日本画だ。
 日本画の後継者が美術学校だけでしか育たないのは寂しい。そのうち、日本画は歴史になってしまう。行政は日本文化の視点で方策を持っているのだろうか。

最後の日本画県展

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