農協直売所で嬉しくなった。信州リンゴ3兄弟のトップを切って秋映(あきばえ)が並んでいたからだ(写真右)。3兄弟ではないけど、長野生まれの品種「しなのドルチェ」(同左)も。毎朝、野菜ジュースを作る上で、人参と共に甘みを左右するリンゴ。お盆の頃に出回るツガル、サンツガルは食べるには美味しいけど、ジュースには甘みが足りない。でも、新鮮さが魅力で使ってきた。
 この後、10月下旬に、さらに甘みが強い、3兄弟の「シナノスイート」「シナノゴールド」が出て、11月中旬には日持ちも良く、いつまでも甘い「サンフジ」が出てくる。近所のリンゴ農家に12月の発送が終わって一段落付いた頃、規格外の大きさや、鳥の突き傷が少し付いたのをダンボール箱3箱分譲って頂き、車庫や冷蔵庫に保存して翌年の夏まで使う。
 庭に出ると金木犀が華やかな香りを放ち、曼珠沙華も咲いている。今年は柿が豊作で、2本のうち妻が生前植えた美味しい方が、物干しを塞ぐほどたわわに実をつけている。子どもたちに、収穫の応援要請メールを送り、例年通り秋が深まっていきます。



 先週5日(木)の新聞で、ドイツ文学者でエッセイスト、池内紀さん(78)が8月30日虚血性心不全で亡くなったと伝えられた。今も悲しい。信毎夕刊1面コラム「今日の視角」で毎週火曜掲載の原稿を、楽しみに読んでいた。切り口上でなく、柔らかな語り口ながら、世の中の流れに疑問を提起していた。信毎夕刊読者以外にも読んでいただきたく、最後の9月3日の「自転車対話」の原稿を写します。
              ◇
 近くに大学があって、若い人たちの多くが自転車を利用している。朝は寝坊をしたのか、風を巻くようにすっとばしていく。午後や夕方は2人が自転車を並走させて、話しながら帰っていく。ときには議論のようなやりとりが、並行した自転車から聞こえたりする。
 キャンパスには、木陰もあれば芝生もある。食堂、カフェ、教室、どこであれ、自転車を走らせながらよりはましだろう。そこでゆっくり話すなり議論をすればいい。
 キャンパスを歩いて気づいた。木陰や芝生に座っていても、食堂やカフェで向き合っていても、めいめいがスマホを手にして、ソッポを向いている。ときおり、見せ合って、ひとこと、ふたこと交わすだけ。夜はたいていアルバイトで、帰りの自転車の上しか話すときはないわけだ。
 私は20代でオーストリアへ留学したとき、外務省の役人で、日本にも赴任したことのある女性に注意された。日本人は対話のとき、愛想笑いを浮かべるが、やめた方がいい。相手の目を見ながら話を聞いて、聞き終わったら、相手の目を見ながら答えること。
 足かけ3年、忠実に実行したものだから、今でも対話のときなど相手の目をじっと見てしまう。たいていの人は視線をそらして、あらぬかたを見ながら話すようだ。
 並行した自転車で相手の目を見るなどありえない。話す方は、話しっぱなし。聞く方もまわりに気をとられて、ろくすっぽ聞いていないのではなかろうか。駅に着いて電車に乗ると、それぞれがスマホに向かう。
 何か間違っている気がするが、これが今の世のありようとすると、それなりに秩序づいているのだろう。存分に話し合ったときの爽快感を忘れずにいる者は、目をつむって過去を見入っている。

車で5分ほどの所に農協直売所があり、妻が生きていたらそうするであろうと、時々、横浜の長女に野菜や果物を段ボール箱で送ります。昨日、トウモロコシや巨峰などを送ったついでに買ったスモモが、とても美味しくて感激。「モモもスモモもモモのうち」と脳内で早口してました。皮のままかじるのが美味しいのも不精者にぴったり。今朝、9時の開店前に並んで、たくさん買い占め(笑)ました。「太陽」という品種で、数年前に長野市に合併した豊野町の生産者の名前が着いていました。長女からも喜びの電話。新鮮な野菜や果物を味わえることも信州に居て良いことの一つです。

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