同志少女よ! 敵を撃て

 第2次世界大戦での独ソ戦で、実在したソ連の女性狙撃兵たちの話だ。筆者の逢坂冬馬さんも、昨年8月、第11回アガサ・クリスティー賞に選んだ選考委員さんも、今年2月6日、本屋大賞候補10作品にノミネートした時点での書店員さんたちも、この本が2月24日始まったロシアのウクライナ侵略下で読まれることは想像しなかっただろう。
 ロシアとウクライナの戦況を日々、新聞、放送で見聞きしている私たちは、殺りくされた一般市民の人数や、ぼかした遺体の映像、破壊されたビルや戦車の跡から、戦争の悲惨さを知っても、最前線で戦う兵士の悲惨さにはすぐには思い至らない。この本を読んでいると、人間同士が殺し合う場面に思い至る。
 5月2日信毎掲載の共同通信記事によると、ロシア兵士の母親らで作る団体「兵士の母親委員会」は「息子に電話をかけて、逃げ出すように伝えて」と助言している。最前線には、戦闘経験も少ない若い兵士も含まれていよう。4月6日、書店員さんが本屋大賞に選んだのは、ミステリーとして優れている以上に、意味が大きいと私は思う。
 これから読む方のために、詳しく書かない。小説の題名は、アニメのように平板だが、読み進めると「敵」は、ドイツ兵だけでないことが見えてくる。フェミニズムの視点でも、お薦めしたい。
 
同志少女よ! 敵を撃て

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