一昨年、スペイン旅行の帰路、フランクフルトからの機内で隣席のご婦人と、推理小説作家、横山秀夫ファンとして意気投合しました。その方の誘いで先週、熱海市にあるブルーノ・タウトが地下室を設計した「旧日向家熱海別邸」を見学しました。建築家を目指す横浜の大学生の孫も同行。
 横山秀夫が2019年に出版した長編小説「ノースライト」は、主人公の建築士が、設計した家から姿を消した一家の謎を追うミステリー。その家に残されたのがブルーノ・タウトゆかりの椅子でした。
 見学は予約制で1日3回、90分、ガイド付き、大人千円(熱海市民750円)。貿易商として財をなした日向利兵衛の別荘で、上屋は銀座和光の設計で知られる建築家、渡辺仁が設計。10人という定員も程良く、ゆったりとガイドの話を聞くことができました。
 私は建物の内装や天井、窓から見える相模湾の美しさとともに、熱海市の所有になった経緯にも感動しました。日向氏の死後、手放され、会社の保養所などになり、引き取り手が無く取り壊しの危機に直面した2004年、この話を知った東京の女性が匿名で資金を出して熱海市が取得。2006年に国の重要文化財に指定され、国民共有の財産となったのでした。
 大金持ちというと、最近はトランプやイーロン・マスクなど金にあかせて権力を動かす人間を思い出すことが多いせいか、謙虚な大金持ちがいるこの国を少し嬉しく思いました。

写真はタウトが設計した遊戯室と洋間(右)日本間(左)で、繋がっている。




  


 前回に続き、きのこの話。樹木の根と栄養をやりとりし共生している菌根性きのこ。松茸もです。松茸の国内生産量が50年前の100分の1に減ったのは、マツ林が減ったから。松茸の産地、長野県の上田市で先月28日約100平方㍍を焼く山火事。秋には松茸小屋ができるだけに、影響が心配されています。この二日前の26日、岩手県大船渡市で発生した山火事は、消火に手間取り、市面積の9%、住宅78棟を焼きました。
 日本に限らず、今年1月の米国ロサンゼルス周辺の山火事は160平方キロを焼き29人が死亡、14人が行方不明に。昨年8月にはギリシャのアテネ近郊、ハワイ・マウイ島でも大規模な山火事が起きています。
 地球温暖化の影響を無視できません。アマゾンやアフリカの熱帯林でも山火事が起き、農地開発などによる消失も含めオランダの面積に相当する4万2千平方キロが1年間で失われたデータ(2020年、世界資源研究所)もあります。森林が失われると吸収されない炭酸ガスが増加→地球温暖化→山火事発生→森林喪失と悪循環です。
 米国に環境活動の先達はいます。「沈黙の春」で農薬による環境問題を訴えたレイチェル・カーソンさん。生きていたら何という本を書いたでしょう。「号泣の冬」でしょうか。長野に3度お招きしたレスター・ブラウンさん(ワールドウォッチ研究所長)は90歳になりましたが、次の子や孫へ大人たちが仕掛けている「第3次世界大戦」が治まらないことを嘆いているでしょう。
 森が失われると、菌根性きのこも失われます。研究者たちが努力していますが、エノキダケやブナシメジなど腐生性きのこに比べ栽培は難しい。

 写真は昨年、私が戸隠高原で出会った菌根性きのこで食用のタマゴタケとポルチーニの仲間のムラサキヤマドリタケ。「ベーシック」がとれたきのこマイスター認定書(お騒がせしました)。




 きのこは1億5千万年前に動物と分かれて誕生し、1億3千万年前に多様化。多くは、樹木の根から糖を貰う一方、窒素リンなどの栄養分を樹木に送って共生(菌根性きのこ)。別の多くは、枯れ木や落ち葉を分解し栄養を摂って土に返す(腐生性きのこ)。つまり、きのこは森を管理し、作ってきました。そこで動物たちは暮らしてきたのです。
 人類(ヒト属)が誕生したのは、ずっと後、早くても200万年前。きのこからすればつい最近の新参者が、戦争や温暖化で地球を壊しているのです。人間の国家が戦争し、資本主義で他を植民地にし、森を壊し、資源をどんどん使っている。国家の中でごく最近、250年ほど前に出来た国の大統領が、地球温暖化をくい止めようとするパリ協定から離脱、ウクライナの鉱物資源を「掘って掘って掘りまくる」と言い、未来の子どもたちへ仕掛けられた第3次世界大戦を煽っている。
 きのこからするとこんな図式でしょうか。
 この4カ月余り、きのこベーシックマイスターの上に進む受験勉強をしてきましたが、良かったことの一つは、悠久の視点を持てたことです。このほど、二日間の実習やテストが終わり結果待ち。こういう視点を持てたことがすでに成果です。

 図は、きのこが、植物より動物に近いことを示す千葉県立博物館の吹原俊光研究員による生物の系統図。Web講義「野生きのこの魅力」はとてもわかりやすかった。
 写真は調理実習でのエプロン姿。






 2月5日(水)1面トップの「ガソリン価格調整か」という特ダネを初めに信濃毎日新聞は、長野市内や隣接市のガソリンスタンドで、価格を事前調整しているという、特ダネを連発しています。
 長野県のガソリン価格は、資源エネルギー庁発表のたび、昨年3月から7月まで20週連続で全国最高位、8月から今年1月まで22週連続で全国最高位。なぜ、長野県のガソリンが高いのか、県民の不満や怒りは多く、県の苦情受け付け「県民ホットライン」では、先月15日までに寄せられた37件のうち23件がガソリンでした。県も補正予算で貧困世帯へのガソリン代補助を盛り込む一方、高値の要因を分析して解消に取り組む方針でした。
 その矢先、信毎は、次週の価格が電話やファックスで事前に知らされガソリンスタンドはそれに従って店頭表示価格をそろえていた、独禁法が禁止している事業者同士のカルテルに抵触する可能性があることを報道。音声データや、ファクスという裏付けも取って。
 多数のガソリンスタンドへの、根気強い聞き込みが必要だったはずです。地域に、教育され、鍛えられた大勢の記者がいる地元紙でなければできない報道です。県内レギュラーガソリンの卸価格と小売価格の差が他の都道府県に比べて大きいことも、価格競争不在を裏付ける報道でしたが、根気の要る緻密な調査。
 スマホばかり見ている若者たちよ。それは、こたつ記者の作った記事。自分では取材の苦労もせず、テレビやネットで流れた話を、こたつに入っていても書ける話にまとめた。広告費稼ぎ目的のもあります。読んでいる時間は人生の無駄でしかない。将棋の藤井聡太さんのように新聞を隅々まで読むか、本を読んだ方が人生にプラスです。 

追記 この特ダネは新潟日報など有力な地方紙にも、転載されました。




 長野市出身の詩人、杉本真維子さんの講演会は8日、前橋文学館の巡回展開催中の信毎本社で開かれました。朝から大雪で40分ほど雪かきして向かったのですが、70人ほど参加。「詩の情景としての長野市」の題通り、配られたプリントのいくつかの詩の背景になった、長野市の昔の情景が説明されて、観客から「そうだった」と共感する声や笑いが出て和やかでした。
 最初に現代詩について、事象を不明確なまま、「わからない」と切り捨てず、白黒つけず、面白いと受け止めて、言葉を選ぶ、と説明されました。そうなんです。だから、大学での「三田詩人」復刊後、信州人になって40年足らずだった私が、現代詩の登竜門であるH氏賞に長野市出身の方が受賞と知って驚いたのです。私には、信州人=理屈っぽい=白黒をつけたがる=現代詩には縁遠い、と言う偏見があったからです。
 偏見であったことは、会場の皆さんが、杉本さんの詩を愛していることが伝わって確信できました。そんな信州人へのサービスでしょうか、H氏賞の詩集「袖口の動物」、高見順賞の「裾花」、萩原朔太郎賞の「皆神山」などの詩集にも収録されず、昨年9月発刊された現代詩文庫「杉本真維子詩集」(思潮社)で収録された「わさびだった頃」をプリントで紹介。信毎の特集でわさび田を訪ねたときの詩です。後半を紹介します。前半も読みたい方は現代詩文庫をお求め下さい。

 その空気を吸って育った/とりわけ、わたしたち長野県民には/わさびだった頃の記憶がある/その証拠に/ツンとして、空を見上げ、甘くないふうをよそおって/ときどき、からさで、意地悪なやつをやっつけて/さびしい、などとは決して言わないで/実は面白いことをたくらんで/ほこりたかく 葉っぱを揺らしている
 
 

 長野市出身の詩人、杉本真維子さんの巡回展が23日、長野市県町の信濃毎日新聞社本社1階ロビーで始まりました。一昨年10月、現代詩の最高峰といえる萩原朔太郎賞を受賞したのを記念して、昨年6月から9月まで群馬県前橋市の前橋文学館で開かれた展覧会の展示物を、同館の協力でそっくり運んで展示しました。タイトルは「わたしは、にんげん、といいます 仲良くできますか」。

 2階の高さまであるロビーならではの、大きな空間での展示は、文学館とは異なる雰囲気を出しています。とりわけ、信毎で毎回1ページの大きさで連載した「思索のノート みしらぬ蛇口」を挿絵ごと布に印刷したバナーは、大きな窓に並べてぶら下げられ、緑の木々を通した陽光を背景に、美しい。
 代表的な詩をいくつか、その詩をどういう状況で作ったか杉本さんの解説とともに並べた箱形のパネルは、暗くなると内から灯りで照らされる仕組み。会場の一角にはビデオも設置され、美しい映像を背景に九つの詩を前橋文学館特別館長で朔太郎の孫の萩原朔美さんらによる朗読で聴くことができます。
 いっとき、詩の世界にはまり、疲れたら隣接されている喫茶コーナーでコーヒー(1杯220円)を注文したり、ピアノを弾くこともできます(私は弾けないけど)。
 来月10日までの午前9時から午後5時まで。入場無料で日曜休館。この機会に新聞社のロビーってどんなところか覗いてみたらどうでしょう。信毎出版の書籍コーナーもあり、過去の記事も読めるデータベースに繋がるパソコンも置いてあります。
 





  



 ノーベル平和賞を受賞した日本被団協の代表委員で受賞式典に参加した田中熙巳(てるみ)さん(92歳)の講演会が、19日(日)長野市のホテル信濃路であり、パソコンからZOOMで傍聴した。同じ日に都道府県対抗男子駅伝が12時半から始まっていたけど長野県の4連勝を確信し、午後1時からパソコンにかじりついた。「受賞演説は新聞に詳しく出ているのでそちらを読んでください」と主に裏話を披露。
 平和賞の委員会があるのは(スウェーデンでなく)米国の同盟国でもあるノールウェーで2017年にICAN(核兵器廃絶国際キャンペーン)が受賞しているので、被団協の受賞は無いと思って外出していたという。自宅から「早く帰って」「テレビを見て」と携帯に電話があり、アパートに戻ると記者が集まっていた。
 アメリカと並んで核保有超大国のロシアが、ウクライナ戦争で核を使うとほのめかしたことから、ノルウェーの委員会ですら危機感を強め、被爆80年の今年を前に、受賞を決めたのだろうと推測。
 胎内で被爆した人も今年80歳、被爆の証言をする人がいなくなる。フランス大使と話したら「フランス国民の中には核を持っていることを誇りに思っている人もいる」と話していたという。国内だけでなく核保有国も含めて、核を許さないという若い人を育てる必要を感じると訴えた。




 SNSの弊害を考える上で重要なニュースが、1月12日正午NHKで流れました。X(旧ツイッター)についてですが、13日の紙面を見る限り信毎(共同通信)、朝日に見当たらないので、NHKプラスをもとに文字化しました。
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 アメリカの実業家イーロン・マスク氏が所有するSNSのXについて、60を越えるドイツの大学や研究機関などが10日、一斉に利用を停止すると発表した。
 Xの利用を停止すると発表したのは60を越えるドイツ各地の大学や研究機関、それにオーストリアの一部の大学。発表ではXについて「右翼ポピュリストの情報が拡散されている」などと指摘している。そして「Xのあり方は科学的な公正さや民主的な議論といった関係機関の基本的な価値観と相容れない」としたうえで「公正で民主的な議論を促進する責任を果たしていない」と批判している。
 Xの利用を停止すると発表した大学などのうち、ドイツのゲーテ大学フランクフルトは個別の声明で「イーロン・マスク氏によるXの買収以降、オーナーの世界観に一致する情報が優先されるようになり、Xは建設的な意見交換の場から偽情報のための道具に変わった」とコメントしている。
 マスク氏はXを通じて来月議会選挙を控えるドイツで、移民や難民に対して排他的な主張を掲げる右派政党への投票を呼びかけ、「選挙に干渉している」との批判も上がっていて、波紋を広げている。




 新年の準備が済むと一年を振り返ります。読んだ本のことも。恩田陸さんの「spring(スプリング)」は、前作の「蜜蜂と遠雷」ほどベストセラーにもならず映画にもならないだろうけれど、バレーは女性が楽しむものとの私の偏見を正しました。9年前、長野市のホクト文化ホールで、市内の白鳥バレエ学園出身の二山治雄君(ローザンヌ国際バレーコンクール優勝)とロシアバレエとの共演を見た際、観客は大半女性だったことで、偏見は出来ました。
 デビュー作「六番目の小夜子」をNHKEテレが少年少女向きの「愛の詩」シリーズで連続ドラマにしたのを見て彼女を知りました。原作は舞台が高校なのを中学にして、当時の名子役、鈴木杏や山田孝之、栗山千明によるミステリードラマとなり面白かった。「夜のピクニック」も「球形の季節」も高校が舞台。「蜜蜂と遠雷」や「灰の劇場」も含めて、私が恩田さんの作品で読んでなかった、男女、同性の性愛を描いているのもこの小説の特徴です。
 450㌻近くあり旅先に持ち歩くには重い本でしたが、ページは右側にしかふってなく、左側は、写真のようにバレーの人物の影で、ダンサーが動き出すパラパラ漫画になるのも、Webでは味わえない、書籍ならではの面白さです。パラパラしたい方、お貸しします。








 今朝の信毎は、長野県民にとって嬉しい新聞です。昨日の高校駅伝で、女子は長野東、男子は佐久長聖、初の男女同時優勝が1面トップです。スポーツ面でも男女2ページずつ合計4ページ、社会面は見開き2ページ。地区版にも、佐久市で大型画面での応援風景と、関連記事が盛りだくさん。
 年末年始の支度もあるので、観戦を控えようと思っていたけど、午前の女子、午後の男子ともテレビつけっぱなし。長野東は1区でトップ、いずれ抜かれるかと思ってましたが最後までトップ。佐久長聖は、1区の4位から追い上げ、3区で1位になったものの4,5,6区で2位、最後の7区で大牟田(福岡)とデッドヒートの末、24秒引き離してゴールでした。
 長野県が男女とも優勝と知って、県外の方は「山坂が多いし、標高が高くて空気も薄いので鍛えられるのだろう」などど思うかも知れない。そういう面もあるかも知れないけど、今年1月の第29回都道府県対抗男子駅伝で長野県チームが2度目の3連覇、通算10度目の優勝をした時に書きましたが、昭和27年に始まり今年で73回となった長野県縦断駅伝を抜きに語れません。地域対抗レースを勝ち抜くため優秀な選手とともに、優秀な指導者が地域にいることも大きいのです。



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