北斎は優れたジャーナリストでもあった

 長野県立美術館で葛飾北斎の展示会が8月27日までの2カ月間、開かれている。欧米にも影響を与えた作品とともに、生き方にも惹かれて、長野県小布施町の北斎館は、これまで20回以上、友人や客、家族と、あるいはひとりで訪ねている。70歳代で富岳三十六景で名声を確かにしたのに、80歳代で版画を捨てて筆で描く肉筆画で物事の真相に迫ろうとする。100歳まで生きて真の画家になることを目指したが、90歳で「天が私の命をせめて後5年残してくれれば本当の絵描きに成れたのに」と亡くなる。
 80歳代の時には江戸から240キロ、徒歩で門下の豪農商高井鴻山を訪ねて小布施を3度も訪れ、肉筆画の作品を多く残している。
 今回の県立美術館の展示会には、小布施で彼が天井画を描いた上町祭屋台も北斎館から初めて外にでて展示され、岩松院本堂の天井画「鳳凰図」もコンピューターで原寸大に復元。冨岳三十六景はじめ彼の作品を改めて見て、各地の庶民の暮らしをつぶさに描いていることに感心した。彼は優れた芸術家であると共に、優れたジャーナリストだった。全国津々浦々の生活者の声が届きにくい東京、霞ヶ関や永田町の記者クラブの人にも北斎を知ってほしい。

北斎は優れたジャーナリストでもあった
(冨嶽三十六景 相州仲原)

北斎は優れたジャーナリストでもあった
(上町祭屋台)

北斎は優れたジャーナリストでもあった
(岩松院本堂天井絵「鳳凰図」)

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