映画「i-新聞記者ドキュメント-」

猪股征一

2020年02月10日 10:26

 先週は映画3本見た。「パラサイト 半地下の家族」「CATs」「i-新聞記者ドキュメント-」。いずれも見て良かった。映画の楽しみは一緒に見た人と酒飲みながら感想述べあうことにもあり、前の2本はその通りでした。でも、最後のは一人で見て正解。同行者がいたら「永田町の記者はともかく、日本中の多くの記者は望月記者のように権力や行政にきちんと立ち向かっている」と、言い訳しなければならなかったから。
 映画は、東京新聞の望月衣塑子記者とドキュメンタリー作家の森達也監督の二人を描いたドキュメント。菅義偉官房長官に質問する望月記者、同じ質問を何度もするな、早く質問に入れ、と妨害する官邸スタッフ、「貴女には答えたくない」と気色ばむ菅長官。前川喜平さんや籠池夫妻、元TBS記者からの準強姦の被害を訴えた女性ジャーナリスト伊藤詩織さんなどの、テレビでは見られない映像はとても面白い。「納得できる答えをいただいていないので繰り返しています」と記者としては当たり前の望月記者の姿を異常に見せているのは、大人しい官邸記者たち。森監督がしぶとく何度も官邸会見に入ろうとするのを拒む役所と警察官、これらに守られ官邸取材が行われている異常さ。この異常さに気づくだけでも、見るかいがあるのでお薦めです。
 「パラサイト 半地下の家族」は、扉に「ネタバレ厳禁」の札が貼ってありびっくり。プログラムの最初にポン・ジュノ監督から、作品について「兄妹が家庭教師として働き始めるところ以降の展開を語ることは控えてください」との懇願。確かに、ここからの展開はめちゃくちゃ面白くて、もう一度見たい。2本とも長野市では相生座で、「CATs」はグランドシネマズで上映中です。