「ふつうのおんなの子」のちから

 時代の危機を説いてらっしゃるのに、語り口が優しい。中村桂子さんとおしゃべりしている感じで読み終えました。クモやチョウなど自然の生き物を身近に生命誌を長年研究されてきた中村さんが、子ども時代の読書体験から、「あしながおじさん」のジューディや、アルプスの少女ハイジ、赤毛のアン、さらには平安時代の著者不明の「虫めづる姫君」らを登場させ、今こそ、「ふつうの女の子」の感覚や考え方が大切になっていることを訴えます。
 「合理性だけで考え、効率だけで事を進め、それに合わない人を切り捨てていく社会は、決して豊かとは言えない。『おんなの子』はそう考えます」と中村さんは書きます。でも残念ながら、「今以上に経済力、権力、武力が幅をきかせる社会にしようとする」動きが強まっています。
 私も、強さや元気を一番とし、弱者差別を良しとし、隣国に「嫌」を付けたがる今を、次の世代に引き継ぎたくない。日常生活の日々を大切に思うジューディーや、アルプスの自然に豊かさを見いだすハイジ、「人間は自然の一部である」ことを感じられる「ふつうのおんなの子」こそが、今の時代を豊かにできると思います。(集英社刊)「ふつうのおんなの子」のちから

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